詩と哲学的エッセイ〜楽に生きるヒント〜

心から湧き出た詩から楽に生きるヒントを読み解きます。

最期に味わうコーヒー。詩子の詩465

 

〜最期のコーヒー〜

 

丁寧に豆を挽き

大切に大切に

急がないでゆっくりと

 

香しいあの香り

私を深く緩める

 

豆を砕く音に

耳を澄ませ

 

何を伝えようと

しているのかと

想い感じ

 

雑味は好きですか?

澄んだ綺麗な喉越しが

いいですか?

 

挽いた豆の声を聴き

いい子過ぎなくても

いいのだから

素直なあなたの

味を出し

想い出に浸らせて

 


豆は人生を噛み砕くように

じわりじわりと形を変え

味わい深い香りをたてる

 


これが最期の一杯

 


それを味わう為の道

ゆっくりと愉しむよ

 


味わい深いコーヒーを

落とす為に

ゆっくりと湯を回し入れる

 


コポコポと音を立て

踊る湯気を見ながら

 

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最期のコーヒーを飲む。

ゆっくりと呼吸をして香り、音、味

全ての五感で味わい尽くす。

 

全て、これでいいと

しっかりと納得して。

 

ただ、ただ味わいたい。

 

だから今

ゆっくりと豆を挽く。

深い呼吸と共に。

 

生きる日々。

ただひたすら豆を挽くのと似ている。

挽きづらい時は優しく、更にゆっくりと挽く。

 

最期に味わう為に。