簡単な事 詩子の詩454
〜大きな木〜
大きな木の下に
静かに腰を掛けた
それは丘の上にある
街の全てを見渡せる場所
今は何もない
花も葉も実も
それでも堂々と立つ
あなたが好きで
大きな木は何も
望まずただ立ち
たまに来る私を
何も言わずに受け止めた
春になれば葉も
茂り、花も咲く
そして散るだけだよと
微笑むあなた
大きな木は
一体何度、季節を巡り
ここにいるのだろう
何を望んでも
望まなくても
朽ち落ちるその時まで
大地はあなたを離さない
それを知りなさい
あなたはそう言って
また私を受け入れた
全ては廻る
全ては廻るから
手に握りしめた
それをまず
離しなさい
流れをせきとめていたのは
あなただよ。
握りしめていたそれを手放して
私に手のひらを見せてよ。